(初心者向け)投資信託を通じた資産運用について

これから投資信託の購入を考えて、真剣に資産運用したいと考えている方やこれから投資信託の販売に携わる方に向けた記事となります。

ネットで情報を集めたり、証券会社の方の話を聞いたりと様々な情報源があると思いますが、実際のところ投資信託について素人であったり、内容がほぼセールストークがという話も少なくありません。

世の中には、約6000もの投資信託が存在しています。( 2020年11月末データ  出典:一般社団法人投資信託協会)正直、その場で勧められた投資信託が一番自分の意向にあっているかどうかはわかりません。

この記事を読むことで本当にいい投資信託は何なのか、どういう観点で分析すべきなのか、資産運用の中でどういう考えをもって自分のポートフォリオに入れるべきなのかを解説していきます。(個別銘柄の推奨等は一切行っておりません。)

投資信託って何?>
投資信託とは、資金を集めて投資運用のプロフェッショナルが様々な資産に投資をする商品のことを指します。よく投資運用を行っている事業体をファンドと言いますが、投資信託もファンドの一種です。

投資信託の特徴>
1.プロの投資家が運用を行っている
2.様々な資産に投資が可能
3.毎営業日に基準価額が計算される
4.様々な手数料が掛かる
5.分配金が出る

– 1.プロの投資家が運用を行っている
世の中には様々な資産があり、国によっても資産の特徴に・銘柄が変わります。そのため、日本の株式のプロがアメリカの不動産について詳しいとは限りませんが、投資信託は、その資産のプロがチームを組んで運用しています。

– 2.様々な資産に投資が可能
株式・債券・不動産・オルタナティブ(コモディティ・インフラ・プライベートエクイティ)等の様々な資産があり、同じ資産でも国によっても特徴や銘柄が大きく変わります。例えば、ブラジルの株式市場では、エネルギー関連の銘柄が多かったり、韓国ではIT関連銘柄のサムスン株価指数の大きな割合を占めています。

– 3.毎営業日に基準価額が計算される
基準価額というのは、投資信託の株価と考えるとわかりやすいと思います。毎営業日に、投資資産の評価計算がされて基準価額が算出されます。投資信託は幅広い銘柄に投資を行うため、この計算作業が必要となります。

– 4.様々な手数料が掛かる
見落としがちなのが手数料です。いくらパフォーマンスが良くても、手数料を払っていたら、その分受け取ることが出来るパフォーマンスは大きく下がります。例えば、販売手数料3%で運用報酬が1%だとして、1年保有して投資信託を売ると、売る時点で既に4%のマイナスです。投資信託のパフォーマンスが4%上昇したとしても、手数料と差し引くと0%の収益ということもあり得ます。

– 5.分配金が出る
投資信託によっては、分配が出ますが分配を毎回受け取ることが出来る投資信託と自動的に分配金が再投資される投資信託があります。分配金が出たとしても基準価額が下がれば、最終的な収益がマイナスになることもあります。

投資信託(ファンド)の分析の仕方>
ファンドを選ぶ際にどのような基準で選んでいます?

証券会社の方が、「今、人気です!一押しです!パフォーマンスがいいです!アメリカのネット関連の銘柄が入っていて今後、伸びていきます!」というような説明を聞いたことがありますが、「本当に?」と思っても、どのような観点で投資信託を分析して比較すればいいかわからないという方も多いと思います。

先ほどもお伝えした通り、日本には約6000もの投資信託が存在しています。( 2020年11月末データ  出典:一般社団法人投資信託協会) そのため勧められたから買うということではなく、勧められた時にどういう質問をすればいいのか、どういう観点で比較すればいいのかを説明します。

投資信託の分析の観点>
1.運用資産
2.パフォーマンス(運用実績)
3.為替リスク
4.手数料
5.自分のポートフォリオ

– 1.運用資産
例えば日本の株へ投資する投資信託であったとしても、株は大型・中型・小型株があり投資する産業(IT会社・製薬会社・不動産リート等)も投資信託によって違います、銘柄選択においてもトップダウン(マクロ的な視点で分析して銘柄選択まで落とし込む)、ボトムアップ(個別の銘柄を見ていい株を選ぶ)等のファンドにおける銘柄選択もファンドによって変わります。

下記は、米国株式の指数となります。各指数と1年のパフォーマンスが記載されておりますが、同じ米株でもインデックスによってパフォーマンスが全く違います。NASDAQ BIOTECH INDEX(米国バイオテック指数)は、1年で約28%上昇しておりますが、BBG US REIT(米国リート指数)は、一年で約10%も下落しております。

そのため、同じ米国の株式に投資すると言っても投資する産業や会社の規模によってもパフォーマンスに大きな差があります。

(米国株式指数 2020年12月21日時点)
出典:Bloomberg https://urlzs.com/bMNk4)

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– 2.パフォーマンス
投資信託に高い手数料を払って投資する意味は、その投資信託がその資産のパフォーマンスを超えることに期待することにあります。

よく意味が分からないという人もいると思います。わかりやすくまとめると、日経平均株価TOPIXなどの株価指標指数と同様の動きをするように運営されているインデックスファンド(手数料が0%に近い)がある世の中で、もしファンドマネージャーが独自の分析をして投資するファンドが高い手数料の場合、インデックスファンドに投資した方が賢明です。

なぜなら、手数料のパフォーマンスへの影響を少なくすることが出来るからです。そこでなんで手数料を払うのかというと、参照となる株価指数以上のパフォーマンスをそのファンドに期待するから払う意味があります。

もし、購入を考えている投資信託がある場合は、参考となる指数よりもそのファンドのパフォーマンスが良いかどうかを確認しましょう。

そして、投資信託を運営するファンドマネージャーも人なので過去1年は指数よりもパフォーマンスが良くても、調子がいい時も悪い時もあります。過去の運用実績(トラックレコード)も確認して、パフォーマンスの良さは一時的なのか、長期で安定しているのかを確認しましょう。

– 3.為替リスク
投資信託の購入において見落としがちなのが為替リスクです。

例えば、米国のIT企業が伸びると思って米国株式FANGファンド(例えば)に投資したとして、投資先の株式が年で10%上昇して、円が米ドルに対して10%下がった場合は、投資信託の手数料を込みで考えるとトータルリターン(パフォーマンス)がマイナスになる可能性があります。

ドル円・ロシアルーブル円の過去5年のチャートを、Bloombergから持ってきました。米ドル円は、2016年は120台から105台まで円高に動いており、ロシアルーブル円は、2018年から2020年末まで1.9台から1.3台まで円高に動いております。

為替ヘッジ無しで外貨で投資した場合、
円高➡外貨から円に換えた場合、パフォーマンス:マイナス
・円安➡外貨から円に換えた場合、パフォーマンス:プラス

(USDJPY 2020/12/22 過去5年チャート 出典:Bloomberg)

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(RUBJPY 2020/12/22 過去5年チャート 出典:Bloomberg)

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– 4.手数料
手数料は、投資信託によって変わるのできちんと確認しましょう。下記のように大体3つに分かれています。1年保有した場合に、合計でいくらかかるのか計算しましょう。

・購入時:投資信託を購入する際に掛かります。
保有中:運用報酬・信託報酬として費用が掛かります。
・売却時:信託財産留保額として徴収される場合があります。

– 6.自分のポートフォリオ
ポートフォリオの構築を考えるときに、まず大切なことは、テーマを決めることです。テーマが決まれば、どれくらいのリスクをとってどれくらいのリターンを目指したいのかがクリアになります。

テーマを実際のポートフォリオに落とし込む際には、わかりやすくするためにキャピタルゲインインカムゲインで収益の源泉を分けて考えましょう。

不動産投資で言うと、キャピタルゲインは売却益です。一方で、インカムゲインは賃貸収入です。今後、発展が期待できる地域にマンションを建てることは、リスクが高いですがキャピタルゲインが見込めます。そして、大学の近くなどの土地は急に家の価格が上がることはあまり見込めませんが、安定した賃料収入が見込めます。

キャピタルゲイン:不動産売却益
インカムゲイン:賃料収入


参考として、3つのテーマを紹介します。
資産や投資戦略の組み合わせで様々なポートフォリオを構築することが出来ますが、まず大きなテーマを設定して個々の好みや志向で調整していく方がテーマがブレずわかりやすいと思います。

・成長志向ポートフォリオ
文字通り今後成長が期待できる領域に投資していくことです。成長が期待できるということは、その分まだその領域が成熟していないということなのでその分のリスクがあります。新しい領域に投資してキャピタルゲインを狙いに行く戦略になります。

・インカム(配当)型ポートフォリオ
キャピタルゲインではなく、インカムゲインを狙いに行く戦略になります。成長性が高くリスクが高い領域ではなく、安定性を求めて運営する戦略です。

・バリュー(割安)型ポートフォリオ
キャピタルゲインを狙う戦略なりますが、成長志向ポートフォリオと違い成長する分野に投資するのではなく、様々な理由で売られすぎた資産を保有して値が戻るのを狙う戦略です。


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(出典 : https://corporatefinanceinstitute.com/resources/knowledge/trading-investing/investment-portfolio/)

<まとめ>
投資信託の基礎からファンド分析、ポートフォリオ構築まで解説しましたが、いかがでしたでしょうか。内容が多くてまだ理解できていないという方やもっと深いとこまで解説してほしかったという方がいると思います。

今後、ファンドの分析やポートフォリオの構築についてより内容を加えた記事を出そうと思っているので今後とも宜しくお願い致します。


*こちらの記事は無料で公開されており、当記事の筆者・運用者は、個別銘柄の推奨を行うことは一切意図しておらず、各投資信託のパフォーマンスを保証することもありません。投資信託の資産運用においては、運用パフォーマンスが下落することや通貨のによるリスクがあります。