ソーシャルレンディングとは?おすすめの事業者と投資に失敗しないために知るべきこと

<ソーシャルレンディングについて>
ここ10年でソーシャルレンディング業界は大きく成長し、6・7年前は怪しい投資先という方も多かったように思えますが、現在は多くの上場企業が資本を投入したり、提携という形でソーシャルレンディング業界に参入してきています。

この記事を通して、ソーシャルレンディングについて詳しくない方も知っている方もより知識を深めることに貢献できればと思っております。

投資信託・株式・リート・ビットコイン・債券にも通じる点ではありますが、投資において、株式全部が上がることはありませんし、投資信託のすべてが下がることはありません。各資産において、案件ごとに分析を行い、リスク・リターンを理解した上で、リスクに対してリターンが大きい案件に投資することで効率的な投資が出来ると思います。

そのため、ソーシャルレンディングにおいても案件の見方、リスク・リターンの考え方について理解を深めて頂ければ幸いです。


<記事目次>
1.ソーシャルレンディングとは?
2.ソーシャルレンディングへの投資
3.ソーシャルレンディングの運用期間
4.ソーシャルレンディングのリスクとは?
5.海外のソーシャルレンディングについて
6.ソーシャルレンディングの利回り
7.ソーシャルレンディング事業者
8.事業者の必要な金融免許
9.まとめ


1.ソーシャルレンディングとは?
まず、ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)についてあまり詳しくないという方もいると思うので解説させて頂きます。

ソーシャルレンディングは、クラウドファンディングの一種と言われていて、ネット上で資金の出し手である投資家と資金が必要な事業者をローンという形でつなぐサービスとなります。


関連記事:
A.ソーシャルレンディングの基礎
B.リターンとリスク
C.ソーシャルレンディングへの投資と業界の変遷


2.ソーシャルレンディングへの投資
実際にソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)を使う投資家、企業(資金の借り手)のメリットをまとめました。このメリットは、あくまで資金がきちんと返済される場合のメリットとなります。

○リターンの特徴
今まで、株式・投資信託・商品先物(金・銀)・不動産等の主要な投資対象は、投資した商品の価格の変動と利回り(配当・分配・賃貸収入等)で投資のリターン・ロスが決まっておりましたが、ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)の場合は、企業から返済が行われる場合には、投資元本(投資時と同じ)+利回り(利子の一部)という形でリターンが決まります。

○投資家のメリット
1. 投資リターンとして資金の貸出しにおける利子の一部を受け取る(一部手数料を差し引き)
2. 資金貸し出しなので投資元本を受け取るができる(返済遅延がない場合)
3. 担保を設定することが出来る(案件による)

○企業(資金の借り手)のメリット
1. 柔軟な資金需要に対応してもらえる
2. 投資家の需要があれば国外案件も可能
3. 案件によってはよりスピーディーに借入れが可能


3.ソーシャルレンディングの運用期間
ソーシャルレンディングの各投資案件によって運用期間が異なります。例えば、3か月の案件もあれば36か月以上という案件もあります。

投資の世界において時間は、価値です。なぜなら、国債に投資したことがある人は知っていると思いますが、国債の償還期間が短い方が、金利(受け取れる配当)の利率が低く、償還期間が長い方が、金利の利率は高いです。

なぜなら、3か月先のことを予想することと3年先のことを予想することは、3か月先のことを予想する場合の方が当たる可能性は高いと思いますし、3年間の間に起こるリスクイベントと、3か月間のことで起こるリスクイベントを考えると、3年間で起こるリスクイベントの方が多いと思います。

そのため、運用期間だけで考えると短い期間の案件と長い案件の期待利回りが同じ場合は、条件が同じであれば短期間の案件の方が経済学的に魅力的です。


4.ソーシャルレンディングのリスクとは?
株式や不動産と同じようにソーシャルレンディングにおいても様々なリスクが御座います。例えば、海外に投資する案件であれば為替リスクがある場合も有りますし、ソーシャルレンディングは、資金を企業に貸付するため貸し先のビジネスが上手くいかない場合は、企業が資金を返済できない場合も有ります。

そのため、下記の点を投資案件を確認するうえで注目することが必要となります。借りる企業がそもそも信頼できるのか?、不動産案件の場合は、担保は設定されているのか?購入金額に対していくら資金を借りるのか?担保は設定されているのか?返済が出来ない場合は同資金が返済されるのか?為替リスクはあるのか?等、リスク・リターンを理解するために自分で、下記の点を整理することで投資の全体が見えてくると思います。

○投資案件で確認するべき点
・資金を借りる企業の財務状況・ビジネスの安定性
・不動産案件の場合は、不動産の価値、投資計画
・海外投資案件の場合は、為替リスク
・返済が滞る可能性、その場合の返済方法
・事業に対して何割、資金を企業は借りるのか

ソーシャルレンディングは、資金を企業に貸し付けてその金利を期待利回りとして投資家に投資のリターンを渡します。そこで重要なのは、担保です。銀行が、お金を貸すときに担保を設定するのは、返済されない場合に貸した資金を守るためです。そのため、ソーシャルレンディングにいても担保を確認しましょう。

ソーシャルレンディングサイトでよく担保付と記載が御座いますが、気を付けるべきは、下記の点となります。当たり前ですが、担保の借りが低いと現金化した時に帰ってくるお金がより少なくなります。

そして二番抵当権の場合は、担保を現金化した場合に、まず一番抵当権を設定している人に、もし二番抵当権の場合は、より受け取れるお金が少なくなるため、リスクヘッジとしての担保の有効性が大きく下がります。最後に、LTVの割合が高い場合には、その分不動産購入おける借入金の割合が高くなることで、貸し手にとってよりリスクの高い貸付案件となります(担保でカバーできる以上の資金を貸し出す必要がある可能性が高くなるため)。

○担保評価で重要な点
・担保の価値
・一番抵当権かどうか
・LTVの割合


5.海外のソーシャルレンディングについて
アメリカでは、個人間貸付が日本での不動産案件のように貸付型クラウドファンディングにおいて主要サービスとなっております。その中でもレンディングクラブは、主要企業の一社となっており今年は、現地の銀行を買収したとしてニュースになっておりました(ニュース:米フィンテック企業が銀行買収 融資仲介のレンディングクラブ:時事ドットコム (jiji.com))。

私の推測ですが、日本ではアメリカのように個人の信用スコアが普及しておらず、個人の審査プロセスに労力がかかりカードローン等の小口ローンが普及している日本では、ソーシャルレンディングを利用して資金を借り入れる必要がないこと、返済状況の管理の難しさにあると思います。

さらに、インドネシアでは、銀行に代わる資金提供機関としてソーシャルレンディング事業者が台頭してきております。金融とITを掛け合わせたフィンテックという言葉を聞く機会が増えましたが、ITによって金融はより柔軟なサービスへと変化することが出来ると思います。

融資は、金融のメインサービスの一つであり、ソーシャルレンディングはその融資をより柔軟でより有効な金融サービスへと変革する可能性があると思います。

日本では、ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)のプラットフォームをベースに、いつの間にか提供サービスの幅が広がっており、大企業とのコラボ案件等、業界への信頼が高まっていることを感じます。今後、ソーシャルレンディングの事業をメイン事業として上場するような企業が増えていけばより業界の発展に貢献していくのではないかと思います。

関連記事:
A.レンディングクラブについて
B.インドネシアのソーシャルレンディングについて


6.ソーシャルレンディングの利回り
ソーシャルレンディングへの投資で特徴的な点は、企業から資金の返済が行われる限り、投資元本は投資信託や株式のように変動しません。よって利回りが高くても元本が減って、最終のリターンがマイナスになることもありません。そのため、利回りが高いということだけでなく、案件の安定性が重要になります。

そのため、どのように企業からの資金の返済が担保されているのかを確認しましょう。例えば、不動産では、不動産担保が設定されているかどうかという点です。新興国の企業への貸し付けで案件の利回りが高くても、返済を保証する内容が設定されていない場合は、元本が毀損して最終リターンがマイナスになることもあります。


7.ソーシャルレンディング事業者
私の観点からソーシャルレンディング事業者のランキングを下記の通り、作成致しました。約7年前から私は、ソーシャルレンディング業界に直接的・間接的に携わっており、業界の変遷を見て参りました。その中で信用を獲得し拡大していく業者と信用を失い縮小していく業者、成長があまりできていない業者とバラバラです。そのため、良い業者を見分ける参考となれば幸いです。

○日本における業界の変遷
1. 事業者向け・個人間貸付けの登場(maneoAQUSH)
2. 不動産事業・事業運営向け貸し付けが主流に(クラウドバンクSBI social lending)
3. 太陽光案件、新興国における事業者向け等商品がより多様に(クラウドクレジット)
4. 大手企業との共同案件数が増加(ファンズ(Funds)CRE Funding provided by Fuel)

現在、注目すべきソーシャルレンディング業者は、下記となります。

クラウドバンク
業界の老舗サービスであり、不動産・太陽光・事業会社・海外案件と幅広い案件を提供しております。さらに総貸付金額が1000億円を突破し、2020年12月時点で貸し倒れが起こっていないことをHPにて公表しておりました。

○ファンズ(Funds)
現在、急成長しているサービスであり、上場企業や大手企業とのコラボ案件も多く募集しております。知っている企業や優良企業案件も確認できると思うので投資初心者に特におすすめされるサービスだと思います。

○CRE Funding provided by Fuel
物流不動産を専門とするCREグループがサービスを提供しております。物流不動産は、現在オンラインショッピングサービスが拡大しているため需要が急拡大しており、高度なオペレーションを提供できる物流倉庫は希少価値が高く重要性が増しているため、物流不動産を中心に取り扱うCRE Fundingは、注目に値すると思います。

○ビットリアリティ
リート業界の最大手の一つであるケネディクスが提供しているサービスとなります。ソーシャルレンディングにおいて投資案件は、リスクをコントロールする上で重要となるため、事業者の実績・専門性は重要となります。

関連記事:
A.クラウドクレジットについて
B.クラウドリアリティについて
C.ポケットファンディングについて
D.CRE funding by Fuelについて
E.オーナーズブックについて


8.事業者の必要な金融免許
ソーシャルレンディング事業を運営するうえで、必要となる金融ライセンスは、第二種金融商品取引業への登録と貸金業の免許となります。

第二種金融商品取引業は、投資の募集のために必要となります。そのため、怪しい業者だと感じる場合は、金融庁へ登録の状況を確認しましょう。そして、ソーシャルレンディングでは、投資家から資金を集めて企業に資金を貸し付けるため貸金業の免許が必要となります。

○第二種金融商品取引業者の役割
投資家の勧誘や重要情報の提供に加えて、投資家保護の観点からDのためにBとCの事業内容、販売前の審査(事業の実在性、財務状況、事業計画の妥当性など)、Bの貸付けに係るモニタリング状況(事業法人の事業や資金使途、財務の状況など)等の検証をする役割があります。

貸金業の役割
主に貸出先の選定、借り手の管理(権利義務の関係・契約・貸付条件・信用情報の取り扱い)、そして投資家と資金の借り手が接触しないことを担保する措置を規定することが挙げられます。

下記は、業界団体が示しているソーシャルレンディングにおける業務フローとなります。各役割のパートでも説明したように、あくまでも二種業者は、投資家勧誘と同時に投資家保護のため投資家への重要な状況提供、そして事業者(貸金業者)と貸付先(借り手)の審査・モニタリングが役割となります。

出典:貸付型ファンドにかかるQ&A
(貸付型ファンドに係る情報提供の明確化)



関連記事:
A.第二種金融商品取引業について
B.第二種業と貸金業について


9.まとめ
この記事を通して、ソーシャルレンディングの基礎、投資案件を見る上で考えるべき点、リスク・リターン、関連する金融ライセンス等について幅広く説明させて頂きました。正直のところ、網羅できていない点はまだまだあります。

投資信託と同じように、ソーシャルレンディングも同様に簡単に全てを理解することは難しいと思います。しかし日々、分析しリスク・リターンについての経験を蓄えることでより、効率的な投資を行えるようになると思います。

ソーシャルレンディングが合っていないという人もいると思いますが、海外では一般的な投資対象のソーシャルレンディングは、今後さらに成長していくと思いますし、過去6・7年のソーシャルレンディング業界への参入や業界の成長は著しいものがあります。

ソーシャルレンディングは、金融方への登録、金融庁からの管理・監視の下運営されており、参入障壁は高く、高度な金融知識を持ったメンバーが必要な事業となります。そのため、ソーシャルレンディングについては、今後より注目が集まる領域になっていくと考えています。