第二種金融商品取引業の登録と貸付型クラウドファンディング

今回は、新たにファンドビジネスを考えている人向けに第二種金融商品取引業の基本と貸付型クラウドファンディング事業の設立について関東財務局や証券業協会のサイトの情報をもとにまとめました。


<目次>
1.第二種金融商品取引業とは?
2.審査から業務開始まで
3.可能な業務
4.要件
5.無登録で営業した場合
6.貸付型クラウドファンディングの運営について
(関連記事➠貸金業と第二種金融商品取引業の貸付型ファンドにおける運営について)


<第二種金融商品取引業とは?>

金融ビジネスに長く携わっている人も、どのような免許をもとにビジネスを開始することが出来るのかを知らない人が多いです。証券会社は、第一種金融商品取引業への登録が必要になります。

下記は、第一種金融商品取引業と第二種金融商品取引業において可能な業務の違いを比較致しました。第一種金融商品取引業は、証券会社の業務と考えて頂けるとわかりやすいと思います。

☑第一種金融商品取引業
証券業、金融先物取引業等のこと。流動性の高い有価証券の売買・勧誘、引受け、店頭デリバティブ取引、資産管理などを行う業務のこと(出典:日本証券業協会)。

☑第二種金融商品取引業
信託受益権の売買、売買の媒介、募集の取扱い(媒介)など、又は、ファンドの自己募集、募集の取扱い(媒介)などを行うものです(出典:関東財務局)。要するに信託受益証券や匿名組合出資等への投資への募集をすることが出来ます。


<第二種金融商品取引業の審査から業務開始まで>
金融商品取引法第29条に基づく登録を受ける必要があります。

☑手続き手順(出典:関東財務局)
1.事前相談
➠事業スキームや営業方法、組織体制などを申請前のヒアリング。
2.申請書の提出
➠申請書の提出部数は、正本1部、副本1部。
3.審査
4.登録
5.登録済み通知書送付
6.ADR措置協会加入
7.営業開始

➠業務を行うことができることとなった日から3か月以内に正当な理由がないにもかかわらず、業務を開始しないときは、登録を取り消される。金融商品取引法第54 条。


<第二種金融商品取引業で可能な業務(出典:関東財務局)>
☑有価証券(投資信託の受益証券、抵当証券、集団投資スキーム持分、受益証券発行信託の受益証券)の募集または私募(いわゆる自己募集)
☑いわゆる「みなし有価証券」について、売買・市場デリバティブ取引・外国市場デリバティブ取引、当該取引の媒介・取次ぎ・代理、当該取引の委託の媒介・取次ぎ・代理、有価証券等清算取次ぎ、売出し、募集・売出し・私募の取扱い
☑有価証券に関連しない市場デリバティブ取引または外国市場デリバティブ取引、当該取引の媒介・取次ぎ・代理、当該取引の委託の媒介・取次ぎ・代理、当該取引についての有価証券等清算取次ぎ
☑委託者指図型投資信託の受益証券及び外国投資信託の受益証券についての転売を目的としない買取り


<第二種金融商品取引業の要件(出典:関東財務局)>
法人で、第二種業を行おうとする場合、財務規制として1,000 万円の最低資本金(第二種少額電子募集取扱業務のみを行おうとする場合は500 万円)が規定されています。また、法人で第二種業の登録をした場合は、営業保証金は不要


<第二種金融商品取引業を無登録で営業した場合(出典:関東財務局)>
5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する、となっております(金融商品取引法第197 条の2)


<貸付型クラウドファンディングの運営について>
(関連記事➠貸金業と第二種金融商品取引業の貸付型ファンドにおける運営について)

貸付型クラウドファンディングの運営においては、第二種金融商品取引業への登録と貸金業の免許が必要となります。

下記は、業界団体が示している貸付ファンドにおける業務フローとなります。第二種金融商品取引業者は、投資家勧誘と同時に投資家保護のため投資家への重要な状況提供、そして事業者(貸金業者)と貸付先(借り手)の審査・モニタリングが役割となります。

(出典:貸付型ファンドにかかるQ&A)
貸付型ファンドに係る情報提供の明確化(私募の取扱い・募集の取扱いのケース)

画像1



第二種金融商品取引業に関するまとめは、以上となります。第二種金融商品取引業の申請については、行政書士や弁護士を通して行うこととなると思います。当サイトは、非営利で運営されているため、より詳細な内容について相談したいということであれば、twitterのDMやコメントを頂ければ専門の方を無料で紹介させて頂きます。


<関連記事>
(初心者向け)ソーシャルレンディングの基礎
ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)への投資と業界の変遷(過去10年)
ソーシャルレンディング事業者のレンディングクラブ(Lending Club)が銀行を超える日
CRE Funding by Fuel の特徴と物流不動産について
不動産特化型オーナーズブックの特徴と不動産案件の精査の仕方
クラウドクレジットの特徴と新興国への投資について
貸金業と第二種金融商品取引業の貸付型ファンドにおける運営について


*記事の内容については、正確性を一切保証しておりません。さらに、当サイトは、金融事業者や弁護士・行政書士を含む金融アドバイザーから一切の報酬を受け取っておりません。そのため、記事の内容については、ご自身で出典元のデータ・内容から正確性を判断して頂くようお願いいたします。