プライベートバンキングとウェルスマネジメントの違いについて

こちらの記事におけるプライベートバンキングとは、一般的に銀行が行っている業務を指し、ウェルスマネジメントは証券業務を指していると言えます。

ややこしいですが、プライベートバンクは、プライベートバンキングと意味が異なります。日本でいうプライベートバンクは、証券会社で行っている資産運用を指す場合が多いため、下記のような整理がわかりやすいと思います。

(言葉の整理)
・ウェルスマネジメント=プライベートバンク=日本の証券業務
プライベートバンキング=日本の銀行業務


<はじめに>
プライベートバンキングとウェルスマネジメントのサービスは重なっている部分も多く、同様の意味でとらえられる場合も多いです。しかし、プライベートバンキングやウェルスマネージャーは通常、顧客のニーズに対して異なる役割を担うため、必ずしもそうであるとは限りません。

実際、プライベートバンキングとウェルスマネジメントは違う役割を担っていると思います。例えば、ウェルスマネジメントの役割は、クライアントとの相互作用が重要となります。ウェルスマネージャーは、コミュニケーションを通じてクライアントのニーズ、リソース、目標、リスク選好を理解する責任があり、顧客のニーズを深く理解することで、ウェルスマネージャーは、クライアントが目標を達成するための資産運用計画または戦略を構築し、定期的にクライアントをフォローします。

そしてプライベートバンキングのサービスは、クライアントとの相互作用に焦点を当てるのではなく、「トランザクション」に焦点を当てています。プライベートバンキングは通常、HNWI(超富裕層の個人)のクライアントに高い品質のコンシェルジェサービスを提供し、ほとんどの人が通常の銀行で経験するサービスがエコノミークラスだとすると、プライベートバンキングは、ビジネスクラスのようなサービスを提供します。

プライベートバンキングでは、通常クライアントのポートフォリオを管理・運用する上で積極的な役割を果たしませんが、ウェルスマネージャーは証券業務のような投資・資産運用を行っています。ウェルスマネジメント会社の従業員や独立した金融アドバイザーは、顧客と協力して特定のニーズをよりよく理解し、適切な投資ソリューションとポートフォリオ戦略を推奨します。

銀行は、ウェルスマネジメントの分野にサービスの範囲を拡張することがあります。一方、ウェルスマネージャーはプライベートバンキング機能に従事することはほとんどありません。ウェルスマネジメント会社や金融アドバイザーは、銀行自身になろうとするのではなく、通常、銀行やカストディアン銀行と提携して、投資や財務計画のニーズに関して顧客に基本的な銀行プラットフォーム機能を提供します。

要するに、ウェルスマネジメントは、顧客のニーズを理解し証券業務と同様に最適の資産運用計画を導き出し提案する一方で、プライベートバンキングは、銀行としてクライアントのリクエストにただ対応していくような役割の違いであると言えます。


<プラベートバンキング>
銀行の重要な機能の1つは、クライアントのファミリーの富を管理し、新しい世代へ資産を移転するの資産運用計画のためのサービスを提供することです。銀行がアドバイスを提供する際には、1人のクライアントにスタッフがチームとなって様々な銀行をサービスを提供する場合が多く、クライアントとの関係は、ファミリーとの関係を通じて、何世代に渡ってサービスを提供し続けることが想定されております。さらに長くプラベートバンキングサービスを提供している銀行は、5つ星ホテルのように、コンシェルジュデスクに電話し、原則ほぼすべての要求へ対応してもらえるように最高のサービスを提供しています。

しかし、業界の特徴としてアドバイザーの離職率が高いことが挙げられるため、クライアントがアドバイザーと強い関係を気づいた場合であっても、ある日そのアドバイザーが切り替わって完全な見知らぬアドバイザーに変わる可能性もあります。そのため銀行が提供するアドバイザーへの報酬(ボーナスや昇進の可能性も含めて)は、銀行のアドバイザー能力に結びついていることがよくあります。


<ウェルスマネジメント>
一方、ウェルスマネジメントは、顧客とそのニーズに直接取り組む金融サービスとなります。「ウェルスマネージャー」は、投資実行サービスを提供し、顧客の取引が効率的かつタイムリーに行われるようにし、市況や顧客のニーズに基づいて最も適切であるアドバイスを提供することができます。

ウェルスマネジメント会社を通じてファイナンシャルアドバイザーを利用することは、資産運用における専門家のアドバイスを利用することとなります。クライアントの資産運用目標を議論し理解し、様々な専門家と協力しウェルスマネージャーは、クライアントをサポートします。

金融におけるコンシェルジュサービスとして機能するのではなく、ウェルスマネージャーは通常、クライアントの現在の状況と将来の計画についてコミュニケーションを通じて議論します。ウェルスマネージャーは、クライアントの議論においてリスク管理、目標を達成するうえでの計画、税務計画、財務的な幸福を重要視する必要があります。


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<元記事>
private-banking-vs-wealth-management